終わり良ければすべて良し、有終の美を飾る、親近効果の心理学


これまで人間心理の

不思議で興味深い法則に
ついて紹介してきましたが、

このサイトで紹介するこの
コミュニケーションスキルの極意
というテーマは、

そろそろ終わりに近づいてきています。
(また別のテーマが始まるのですが…)

そこで今回は、

「親近効果」

という心理学の法則について
説明してみましょう。

簡単に言えば、

一番新しい情報で脳が占められる

ということなのですが、

人間関係、コミュニケーションを
発揮するあらゆる場面で覚えておきたい
人間の持つ心理的特徴です。

キリスト教では、

現世ではどんなに悪事を働いても
最後にでも悔い改めれば死後
天国に入れるそうです。

つまり、

最後の場面(最新の場面)が
一番印象に残ってしまうという事。

一部のクリスチャンはこれを
”天国泥棒”というそうですが、

泥棒云々はともかくとして、

この法則は世間一般の
人間心理に十分通用するのです。

事実、

「終わり良ければすべて良し」

ということわざが示すように、

途中がつまらなかった映画でも
最後に面白ければ印象に残るように、

何事も締めくくりが良ければ、

途中は多少不出来であっても
親近効果によって、

世間は認めてくれるのです。

舞台ではできるだけ最後に出たい


音楽のコンクールなどでは
出場者はできるだけ後の順番を
引き当てたいと願うそうです。

なぜなら審査員の印象に
最も残るのは一番最近のこと、

つまり最後の演奏者だからです。

また最近では、お笑いの
賞レースなども人気ですが、

そこでも参加する芸人たちは

「とにかくトップバッターだけは避けたい」

と願うようです。

同じ技術、同レベルのネタ、笑いの量
でも順番によって順位が変わってしまう。

これも終わり良ければすべて良し
親近効果が現れる例と言えるでしょう。

この心理効果では反対に、

いくら途中経過が良くても最後が悪いと、

それまでの功績が帳消しに
なってしまうばかりか、

ひどい場合には無能人間
あつかいされる事すらあります。

これは厳しい競争社会を生き抜く
戦略として抑えておくべき心理法則です。

さて、世の中には国内外を問わず、

名経営者と謳われる人たちがいます。

中でも元GEのジャック・ウェルチは
(ジェネラル・エレクトリック社)

アメリカ社会では名経営者中の
名経営者だったと評価されています。

それを裏付けるかのように、

彼は著名な経済雑誌『フォーチュン誌』で
彼は「20世紀最高の名経営者」に
選ばれています。

そんな彼もよくよくその経歴を見ると

見事に終わり良ければすべて良し、

有終の美を飾る、という心理効果に
よって評価されている人物だったのでは
と思えてくるのです。

アメリカNo.1の経営者の評価


ジャック・ウェルチは20年以上に
渡ってGE社の変革に取り組み、

同社の再建に大きく大きく再建しました。

様々なビジネス書やメディアで
彼の功績は称えられています。

ちなみに彼の年収は最高時には

なんと9千400万ドル
(日本円で94億円ほど)
にも達したと言いますから、

彼の経営手腕の姿が伺えます。

アメリカのビジネスマンでは
知らない人はいないほどの評価です。

ところが、

そんな伝説の経営者
ジャック・ウェルチですが、

当時は企業家、経営者としては
あまり評判がよくありませんでした。

特にGEの従業員からは

「あんなの名経営者でもなんでもない。
ウェルチ=飢える血で、冷酷な鬼だ」

と酷評する人さえいました。

なぜかと言えば、

彼の基幹的な経営手法が

「人切り」

つまりリストラにあったからです。

「美しい花に育つ可能性が
あれば惜しみなく手をかけるが、

育ちそうもない花は抜くしかない。」

こうした経営信念のもとウェルチは
1981年、GEのCEO(最高経営責任者)
に就任すると、

業績改善の見込のない事業からは即、
撤退し、それに伴い、

大リストラを敢行したのです。

有終の美を飾る、親近効果の心理学


つまり20年に渡る
GEの変革に取り組みの中で、

再建の為に途中では多くのやり取りや
失敗、不満や不評に喘ぐことも
あったのです。

ところが最終的には大きな
成果を上げました。

もちろん厳密に言えば、最後だけが
評価された訳ではないでしょうが、

名経営者ジャック・ウェルチとて、

いつも華々しい活躍をした訳では
なかったのです。

それどころか、むしろ
現役時代の評判は悪い方が
多かったのではないでしょうか。

GEというのはかの有名な
エジソンさんが作った会社です。

アメリカの保守層からすれば
その看板は何よりも大切なものです。

ところがウェルチさんは
そんな社風や伝統がありながら、

それまでGEを支えてきた家電部門でさえ、
周囲の大反対を押し切ってバッサリと
切り捨ててしまったのです。

彼に「ニュートロン・ジャック」
のあだ名がついたのはその為です。

(中性子爆弾で建物を破壊せず
中身、従業員を破壊する意味)

それほどの冷酷な
経営手法を貫いたにもかかわらず、

後々、彼は産業界からはなぜか
名経営者として絶賛されているのです。

それはやはり…

彼が有終の美を飾り、

「終わり良ければすべて良し」

を身をもって実践したからです。

このように途中経過、中身はどうあれ、

締めくくりがいいと、親近効果
によって評価されるのです。

親近効果の心理学のメカニズム


この親近効果のメカニズムを
他の事例としてあげられるのが、

アメリカの心理学者、
N・H・アンダーソンさんによる実験です

彼はある事件を素材にして、
模擬裁判を行いました。

証言は検事側、弁護士側ともに6つ、

証言の長さも全て統一にして文章にします。

そしてまず交互に二つずつの
証言を出して陪審員に読ませた所、

陪審員は、最終の証言の側に
有利な結論を下したと言います。

次に、

一方の証言を6つ続けさせてから、
他方の証言を出させた所、

やはり結論は後の証言に有利に
傾いたと言います。

つまり、

「人は異なった情報源から
色々な情報を与えられると、

その中の現時点に最も近く新しい
情報に、大きく左右される」

効果があるのです。

同じニュースでも何回も
見たり読んだりしてしまうのも、

人は最新情報が欲しいからです。

こうした効果を日常のビジネスの
世界に応用するなら、

例えば会議では、

議論が出し尽くして、予定の時間が
終了する間際に発言すると

発言が通る成功率は高くなるでしょう。

色々な場面で使える心理法則です。

シェークスピアの作品にも

“All’s Well That Ends Well”
「終わりよければ全て良し」

というタイトルのものがあるそうですから、

まさにこれは古今東西の人間の
心理に基づく特徴なのでしょう。

いずれにしても

終わり良ければすべて良し、
有終の美を飾る、

この親近効果の心理学を
しっかりと抑えておかなければ、

最終的にあなたの評価は
下がってしまうかもしれません。

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