ユダヤ人の結婚と結婚式、ユダヤ法に基づく離婚の手続き


愛情というのは、もちろん
古今東西不変のものですが、

その表現方法は時と場所が
違えばまるで違うものです。

日本の歴史を振り返っても、
ほんの数年前と比べても、

結婚観はTPOによってまるで
変わってしまうのが面白いです。

さて、

ユダヤ社会の婚姻文化ですが、

最近では恋愛結婚が
ユダヤ人の間でも普通ですが、

伝統的なユダヤ教の家庭では、

今でも仲人が親に良縁を持ち込み
双方の親が縁談をまとめる

と言います。

ユダヤ教徒の結婚は、
結婚契約書に基づいて行われ、

離婚の際は民法上の手続きに加え、

宗教法上の厄介な手続きがある

のが特徴です。

そしてユダヤ教の教えによれば、

独身生活は不幸であり、子供の
いない結婚生活は悲劇と言います。

タルムードの中にも

「妻なき男は生の喜びなく、
平安なく、心の支えなく・・・」

という一節があります。

ユダヤではお金やセックスを
タブーとしないのが特徴です。

だからこそ、

カトリックの神父や
出家した仏教の僧侶の妻帯が
許されてはいないのに対し、

ユダヤのラビも結婚するのが普通です。

また『創世記』の一句
「産めよ、増えよ」は、

神が人に下した命令ですが、

結婚をして家庭を築き子孫を増やす、

これはユダヤ教の根幹部分なのです。

神様の教えに則る披露宴


ユダヤ人の結婚式は、
火曜日に挙式される事が多いです。

というのも、

天地創造の際、

第三日目(火曜日)の夕方、

神はその日の創造活動を振り返り、

「これは上手くいった」

と二度発言したと言います。

つまり、

火曜日は物事がダブルに
うまく行った日であるという
縁起をかつぐのです。

これは日本では大安の日に結婚式を
するのが多いのと似た風習でしょう。

さらにユダヤの結婚式では、
新婚カップルの祝いを妬んで
悪霊がとりつくといけないと、

結婚式の前日は花婿も花嫁も、
それぞれ友人や家族に伴われ
ながら1日を過ごし、

一瞬でも1人では過ごさないそうです。

そして結婚式の当日は、

花婿も花嫁も朝から断食をし、

今までに犯した過失、或は知らないで
犯した罪を神の前に前に懺悔し、

それまでの生活と決別します。

披露宴では特別な事がある訳でなく、

テーブルごとで飲み食い、参加者同士で
しゃべり、食事に花を咲かせます。

イフッド(合一)という行事を終え、

1時間ほど経ったところで、
新郎新婦も宴会場に現れます。

そこでエネルギッシュな
フォークダンスが始まり、

花婿と花嫁をそれぞれ
椅子に座らせたまま、

花婿を男友達が、花嫁を女友達が、

椅子事に担ぎ上げて、男女別々に、
別々の会場で大輪舞を繰り広げます。

食事、輪舞、休憩を繰り返し、

新郎新婦に個人的にお祝いを述べ、

夜中になり、

感謝祈祷を全員で唱え、

新郎新婦が挨拶をし、披露宴が終了

という流れです。

ユダヤ人の結婚と結婚式


さらに、

ユダヤ人の結婚式で興味深いのは、

式の前に結婚契約書(ケトウバ)
がラビによって作成される点でしょう。

まさに契約の民…といった所です。

そこには、離婚した場合に
妻が受け取る慰謝料の額まで、
具体的な数字で記されています。

その内容は、

式の最中、列席者に向かって
読み上げられるのです。

ユダヤ教では結婚は
まさに契約なのです。

次に、新郎新婦は両親に導かれ
式場に作られた天蓋(フッパ)
に入ります。

そこで、ラビが祝福を与えた
ワイン(喜びの象徴)で乾杯した後、

グラスを床に置き、

新郎がかかとで踏み砕いて
結婚式が終わります。

これはエルサレムの神殿の
破壊を意味します。

幸福の絶頂であっても
苦難の時を忘れてはならない

という戒めが込められているのです。

もちろん、

砕かれたガラスが二度と
元通りにならないが如く、

二人が二度と独身に戻らない
との願いも込められています。

ユダヤ教徒にとっての離婚


さて、結婚があれば、
離婚もやはりあるものです。

旧約聖書の律法編である申命記に、

「人が妻をめとり、その夫となり、
恥ずべき行状を彼女に見出し、

彼女を気に入らなくなった時は、
離縁状を書いて彼女の手に渡し、
家を去らせよ」

と、明確に離婚を規定しています。

ただ、以上の見解だと、
夫の一方的な好き嫌いによって
妻が離縁されてしまいかねません。

そこで現代に合わたドイツのラビ・
ゲルショム・ベン・ユーダの判例により、

「妻の同意なしに彼女を
離縁してはならない」

と現在はなっているようです。

もちろん離婚は、
人生にとって悲劇ですが、

タルムードは離婚について、

「若き日以来の伴侶を離別する者
のために神の祭壇さえも涙を流す」

と述べています。

つまりユダヤ教では、

結婚を神聖な行為として推奨し

人が独身で一生を過ごす事を
評価しないですが、

とは言え、

ユダヤ教はカトリック教のように

離婚を認めないのかというと、
そうではありません。

夫婦二人に一体となろうとする
愛が冷めれば、

結婚の絆が切れてしまうのも
やむを得ない現実であると、

ユダヤ教では離婚も肯定します。

しかし、

現代アメリカ社会では全ての結婚の内、

実に50%が離婚に終わる事が
統計的に立証されています。

これに対して、

ユダヤ教徒同士のカップルの場合、

離婚率は12%に過ぎず、

アメリカ平均の約4分の1なのです。

ただもちろん、

これも文化的流れの一部であり、
将来は流動性のある統計には
なるでしょう。

が、彼らの離婚率が低いのも
文化的な背景が存在します。

ユダヤ法に基づく離婚の手続き


今日のユダヤ人の離婚は、

ユダヤ法がユダヤ人の国法である
イスラエルを除けば、

ユダヤ教徒のカップルの場合、

民法上の離婚手続きに加え、

宗教上のユダヤ法にのっとった
厄介かつ費用のかかる

離縁状(ゲット)の発行を
ラビに頼まなければならず、

これが簡単に離婚してしまう事への
歯止めになっているのです。

そして、さらにこの事が、

一般世帯に比べ、ユダヤ教徒世帯では

富の蓄積が加速される
一因となっているのです。

離婚というのは最大の
富を減らす機会となります。

どれだけ大富豪であっても
2回離婚すれば富を失う…

などとも言われますが、

何しろ、共有不動産の
処分から生じる損失、

弁護士費用、養育費の支払いなど、

離婚がもたらす経済的打撃は
大きいからです。

なお、民法上の離婚
手続きは終わっていても、

ゲットがなければユダヤ社会では
妻の再婚は姦通と見なされ、

新しい男との間に生まれてくる
子供は私生児となります。

ユダヤ教徒同士の結婚と族外婚


島国である日本でも以前は
珍しい事だった国際結婚も
最近では日本でも増えてきました。

なお伝統的には

ユダヤ教徒同士ではない族外婚は
ユダヤ社会でも物議を醸す問題

のようです。

中世では、

ユダヤ教徒と結婚したキリスト教徒が
火あぶりの刑に処されるなどの
事件もあったそうですが、

時代が下り寛容な社会が出現すると
異教徒同士の結婚も増えます。

ところがアメリカで
1990年の調査では、

在米既婚ユダヤ人の
配偶者の52%が非ユダヤ人

という結果が出て、

ユダヤ人口の激変のリスクを
引き起こすかもしれないなど、

これには保守的なユダヤ人は

「第二のホロコースト」

と呼ぶほどです。

ちなみにイスラム系とユダヤ系の
対立が激しいイスラエルでも

ユダヤ系とイスラム系の
カップルは生まれるそうですが、

現代版「ロミオとジュリエット」
として世界中に有名になるほど、
そこには大きな摩擦があるようです。

結婚や離婚の文化的な違いは
色々とあり興味深いものです。

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