初頭効果と印象の関係、先入観と固定概念、判断と評価の心理学


人間の思い込みとは
非常に不思議なものです。

悪意も敵意もないのに、
摩擦や争いが生まれてしまうのも、

人の心理が影響しているのです。

人間は誰しも固定概念を持ち、
事実と異なる解釈をしてしまいます。

特に初対面でそれは顕著に現れます。

例えば、

ビジネスの会合などで
名刺交換などが終わり、

お互いの立場や役割などが
ある程度分かった所で、

初対面の話しのついでに

知り合いや社内の人間についてなど
質問される事がよくあります。

「○○部長はどういう人なのですか?」
「○○さんって怖いと聞いたんですけど…」

…などと聞かれることがあります。

始めて会った人に、

特定の人物に関する評価を
聞かれた経験は誰にでもある事でしょう。

つまり、

その場にいない誰かを評価して伝える

という場面です。

そうしたときに注意したいのは、

これを深く考えず、あまりに
気軽に答えてしまうと…

その評価の表現の仕方によって、

評価対象になった人に大変な迷惑が
及ぶ事があるということです。

同時に、評価をした人間の方も
信用を失う場合もあります。

なぜなら…

そうした情報が、

先入観や固定概念となり、

その後の判断や評価に特殊な
心理学的なメカニズムが働くからです。

知らない人の評価を先に聞くと

まずは以下の画像を
見てみてください。

初頭効果と印象

この場合中央の文字は、

横文脈と縦文脈で異なって読めます。

同一のものであっても、
文脈が別なら異なって見える

というのが私たちの脳の持つ
曖昧な認知の特性ですが、

一度固定されたものの見方を
その後なかなか変えられない

とも言えます。

例えば、

AさんとBさんが既に会っていて、

Aさんがまだ良く知らない
Cさんについて、

「Cという人は、負けん気が
強くて鼻持ちならない」

といったマイナスの人物評価を
Bさんから聞いたとします。

そのあとでAさんがCさんに
実際に出会ったときに、

実際はCさんはBさんの評価とは
正反対の人間だったとしても、

AさんはBさんから聞いた
評価をもとにCさんに観察し、
人物を判断してしまいます。

「確かにCさんは鼻持ちならないな」

…と。

これが先入観や固定概念です。

初めから「鼻持ちならない」という
評価を与えられていたAさんの脳は、
Cさんのその面を探し出します。

実際に会って会話をした大半は
Cさんは謙虚で温和であっても、

固定された面が強調されるのです。

ここでもし、CさんがBさんの
言う通りの人間でなかった時も

「きっとCは今は皮をかぶっていて
本性を出さないようにしているのだろう」

と悪意に解釈してしまい、

その後、Aさんの中でBさんから
与えられた評価が覆る事は少ないのです。

最初に聞いた事に、その後の
判断が左右されてしまう。

これを心理学の世界では

「初頭効果」

と呼びます。

初頭効果と印象の関係


初頭効果で生じた固定概念は、

それが強い印象を
与えるものであれば、

後でいくらそれを覆すような
事実が出てきても、なかなか
ひっくり返る事がないです。

それだからこそ、

初めての事について
聞かれたときにどう答えるかは、

十分に注意して
かからねばなりません。

人間の評価は絶対でなく、
相対的なものです。

それは単なる一面に過ぎません。

人によって意見も解釈も
全てがバラバラのはずです。

しかし…

あなたが言う一言が、

そこに関わる全員の人間関係に
大きな影響を与えてしまうのです。

特に、仕事をする上で、
マイナスの評価を与えてしまえば

その後のプロジェクトの
進み具合に影響も出ます。

例えば、

Aという会社と取引している
Bという会社の社員がいたとします。

その社員は、
あるときA社の社員から

「ウチの社長は社員の鉛筆一本の
購入伝票までチェックするほどの
ドケチなんだよ」

と聞かされました。

しかし、

しばらくすると別の社員から

「うちの社長は普段は締まり屋なんだけど、

勝負する時は会社の百年の計を考えて、
研究費を他者の何倍もかける、
すごい太っ腹なんだ」

と聞かされました。

まるで別人の評価のようですが、
2人とも同じ社長のことを話しています。」

それは良い事でも悪い事でもある

全く同じものを同じタイミングで
同じ場所同じ状況で見聞きしても、

人によって解釈は変わるのです。

このように例え同じ
会社の社員の話しでも、

一方では「ドケチ」
もう一方では「太っ腹」

と社長の評価が2つに分かれる
事が多いにあるという事です。

結局、人物評価というものは、

見るアングルによって違ってきます。

人間とはそういうものなのです。

これを心理学は教えてくれます。

同じものなのに、

一方から見ると悪く見えるが、

もう一方から見るとよく見える
という傾向があります。

例えば、

行動的な人がいたとします。

その人を好意的な先入観を
持っている人にとっては

困難な障害があっても、それに
負けず積極的に物事を推進していく人

という評価になります。

でも、悪意の先入観を
持っている人にとっては、

人を押しのけてでも無理矢理、
人の気持ちも汲まずに物事を
推進してしまう粗雑な人

という評価を生み出しやすいのです。

これは恋愛でもよくあるパターンです。

見方を変えれば、

情熱的な人もストーカーに見えてしまい、
優しい人も軟弱な人に見えてしまう。

私たちの脳はこうした
おかしな性質を持つことを
認識しておくべきでしょう。

認識すればするほど
深みにあるコミュニケーション
良好な人間関係を送れるからです。

何をやっても非難される不幸


あるユダヤ系アメリカ人の
経営者が嘆いていたのですが、

アメリカ社会のユダヤ人に
対する偏見はやはり大きいらしく、

人種的身体的特徴は
ハッキリしないにも関わらず、

ユダヤ人と聞いただけで
「金銭的にがめつい」というイメージを
持つ人が多いです。

そういった前提でユダヤ人が
ビジネスをスタートします。

事業に成功すれば

「やはりユダヤ人は抜け目ない」

と言われ、

事業に失敗すれば

「あれは見せかけで、どこかに
お金を隠しているのではないか」

と疑われ、

慈善事業に対する寄付を断れば

「やはりユダヤ人はケチだ」

ということになり、

寄付に応じたら

「世間に対する点数稼ぎ」

とみなされる。

つまり

偏見を持っている人たちからは、

“何をやっても”自動的に非難される
という事を嘆いていました。

まるで八方塞がり。。まさに
初頭効果、先入観により生まれる
不幸と言えるでしょう。

でも…

これは私たちの脳の性質に
由来するものと分かれば、
解決の道も見えてきそうです。

その言葉は「そのまま」伝わっている?


確かに人間には、

何を見ても自分の信念に都合良く
事実を解釈する傾向があるのです。

本人は常に一貫して同じ考え方で、
同じ行動をしているのですが、

周囲の見る目によって、

その行動に対する受け取られ方が
180度違ってしまうのです。

先入観と固定概念の心理学には
そんな恐ろしさがあるからこそ、

これから人を評価する際に
注意するべきという事です。

例えばもしあなたが

周囲から冷たい人間だ

と思われている人について、

第三者から人物評価を
求められたときには、

マイナスなイメージを持たれそうな
直接的な表現をするのは避けたいですね。

ここは言葉をうまく駆使しましょう。

「痩せている人」を「スリムな人」

と言い換えられるように、

「冷たくて冷酷な人間だ」

というのではなく、

「彼は怜悧な人だ」
「彼は冷静沈着な人ですよ」

とでも言い換えれるでしょう。

言葉によって判断と評価を変える
事ができるのも人間の知恵です。

こうしたやり方は、

あらゆる質問への答え方に
通じるのではないでしょうか。

要するに、

ことにマイナスになるような
評価に関しては、

ストレートに表現しない事です。

婉曲的にマイナスの評価をするか、

あるいは、その人物の長所を取り上げて
説明する方が良いのではないでしょうか。

恋愛相談において、
ことに女性の場合、

肉体的な事をストレートに
言うのは禁物とよく言われます。

太っている人を見ても

「ぽっちゃりしている人」

位ならまだしも、

「肥えている」「デブ」

などと言ったら一生、
口をきいてもらえないはずです。

先入観と固定概念、判断と
評価の心理学を理解しておかないと、

人間関係が複雑に
ねじれる可能性が高いのです。

また差別や不平等など
社会問題にも繋がる可能性も秘めた

人間の脆さを持った心理なのです。

この辺りをしっかりと
踏まえておくことが、

適切な人間関係、コミュニケーション
を進める上で大切なのでしょう。

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