囚人のジレンマと目には目をに見る、お返しと互恵性の心理学


今回のテーマは、

囚人のジレンマと目には目を
に見る、お返しと互恵性の心理学

について紹介します。

心理学理論を学びながら、

社会の事件や出来事を見ていくと

新たな発見があり面白いものです。

なぜこうしたことが起きたのか?

今まで見えていなかった
背景が浮かんできたりします。

私たちの持つ心理傾向は
個人にだけ当てはまるのでなく、

社会や国同士でも
当てはまるものです。

例えば、1985年、

イラン・イラク戦争が
激化する中、イラクは

「イラン上空を飛行する
飛行機を無差別に撃墜する」

という通告をしました。

タイムリミットは48時間、

緊迫したニュースが流れたのです。

政府から要請を受けた
日本航空が、

労働組合の反対により救難機を
出さないと言う絶体絶命の中、

イランの首都テヘランの
残された215名の邦人は、

他国の救難機が飛び立つのを
ただ見守るばかりでした。

日本人は取り残されて
被害にあうかも知れない…

そこに、二機のトルコ航空機が
駆けつけ、

撃墜の可能性もある
きわどいタイミングで邦人を
無事に全員非難させました。

多くの在留トルコ人の
救援を後回しにし、

なぜ無関係なトルコが
命の危険を冒してまで、

日本人と助けてくれたのでしょうか?

トルコの機長、外交官、首相は
口を揃えて言いました。

「エルトゥールル号の恩返しですよ。」

と、

このエピソードから

人間の恩返し、互恵性の心理
の意味や特徴がが見えてきます。

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お返しと互恵性の心理学

「エルトゥールル号の恩返し」

この言葉の意味に
ピンとくる日本人は

当時もあまりいませんでした。

1890年、当時日本と国交の
なかったオスマン・トルコ帝国は

親善訪問のために軍艦
エルトゥールル号を派遣しましたが、

老朽化と台風のために、

和歌山県潮岬沖で沈没しました。

生存者69名への
手厚い看護と義援金の募集、

彼らを故郷に送り届ける軍艦の派遣
などに感激したトルコ人は、

東の小国であった
日本に対し好意を抱き、

今もこの遭難事件を語り継いでいます。

この100年前の恩義に報いようと、

トルコは日本人の救難活動を
行ったのです。

当時の直接の関係者は
もういないわけです。

何かをされた場合にお返しを
しなければならない、

この心理の働きを互恵性と呼びます。

100年間の国家同士の恩義に
報いる例は稀かもしれませんが、

私たちの身近な社会生活を
円滑にする多くの習慣が

互恵性の規範によっています。

例えば、

上司やお世話になった人への
お中元やお歳暮の習慣、

結婚式のご祝儀と引き出物

何かのお祝いや、
それへのお祝い返しなどが、

互恵性の規範の心理学に
基づく習慣だと考えられます。

囚人のジレンマの心理学

もちろんこれは

良い心遣いにだけ対して
行われるのではなく、

報復や復讐などネガティブ
にも当てはまる法則です。

お返しや互恵性の心理が

私たちの社会においていかに
重要であるかを理解するために、

囚人のジレンマと言う
ゲームを紹介します。

このゲームには、

二人の人が囚人Aと囚人B
として参加します。

それぞれの参加者が、

1.相手を裏切ると
自分だけが大きな得をする

2.双方がお互いを裏切ると、
お互いに損をする

3.双方が協力し合うと、
お互いに小さな得をする

という条件で、

それぞれがどのような
判断をすると最も利益を得られるか、

というゲームです。

有名な理論ですが、

さらに、この囚人たちが
判断を一度だけする

(相手を売ると自分は
死刑にならない、など)

のではなく、

長時間に何度も判断を
しなければならない

(相手を売るように尋問され続ける)

という条件を与えます。

すなわち、

1.長期にわたる関係を持つ

2.協力か?裏切りか?の同じ判断を
何度も繰り返さなければならない

3.前回までの相手の判断は分かるが、
次にどんな判断をするかは分からない

4.この関係がいつ終わるかは分からない

という条件の時、

この囚人たちは、

どのような戦略で判断をすると
最終的に得をするのでしょうか?

これを人間ではなく、

特定の戦略を持った
コンピューター・プログラムを
参加させる事により、

最適な戦略を調べる研究が
行われました。

「目には目を」の心理学

「常に相手に協力する」

「常に相手を裏切る」

「最初に裏切ってみて、
相手が協力したら協力し続ける」

「相手が一度でも
裏切ったら裏切り続ける」

「相手の協力の割合を数えていて、
半分より上なら協力する」

「気まぐれに判断を変える」

それぞれの戦略をとる囚人
同士が総当たりで組み合わされ、

最終的にどれだけ得をしたのか
という得点が計算されました。

するとどうなったか?…

ここで最も得をした囚人の戦略が

「目には目を」戦略なのです。

これは

「相手が協力したら、次の回は
協力をし、裏切ったら裏切る」

という単純なものでした。

目には目を、歯には歯を…

というのはハンムラビ法典や
聖書に出てくる言葉です。

つまり古来からこうした
心理を人間は持っていたのでしょう。

それを最新の理論がしっかり
裏付けをしたということです。

この戦略は、

相手が協力的な場合は、
お互いに得をし続けます。

相手が裏切る場合には、
最初の一度だけは損をしますが、

以降は損害を最小限に
とどめる事が出来ます。

好意には好意で、
悪意には悪意で返す

というやり方が
最終的な得をもたらすのです。

返報性という心理傾向も
このサイトでは紹介されましたが、

私たちの社会も、

基本的にこの理論によって

お互いに協力し合う
関係を強め合います。

「常に相手を裏切る」人間は、

「目には目を」人間の
社会の中では、

はじめは良い目を見られる
かも知れません。

しかし、恩知らずと思われて
次からは相手も裏切ってくるようになり、

協力し合っている
「目には目を」の人たちより
得が出来ない事になります。

目には目をに見る互恵性の心理学

こうなると、

「常に相手に協力する」

人たちだけで出来た社会が
理想郷のようにも思えますが、

残念ながらこの人たちは

「常に相手を裏切る」人たちに
カモにされ続けます。

お人好しが飢え死にしてしまうと、

今までお人好しに頼り切っていた
裏切り者は何も出来なくなり、

社会全体が衰退してしまうのです。

結局のところ人間はどう転んでも、
協力しあうようにできているのです。

この囚人のジレンマゲームや
「目には目を」などの
心理学的な研究は、

多くの動物や人間の社会行動の
一部を説明する上で

有力なゲーム理論へと発展しました。

現在では、

投資市場での人々の判断や、

なぜ人が他人を信頼するのか
などと言う、

心理学的な疑問への解答
を得るために応用されています。

目には目を、歯には歯を
という言葉を皮肉って

「目には目を」では
世界が盲目になるだけだ

といったのはマハトマガンジーです。

しかしこの心理は実に奥深いのです。

その中心にあるのは、

「相手のためにして
いるように見える事が、
実は自分のためになっている」

不良ぶっても、孤独ぶっても、
逆に聖人ぶったり理想主義者でも、

人は一人では生きられません。

人間社会での成功というのは
結局、協力が不可欠なのです。

だからこそこのサイトの
メインテーマが

コミュニケーションと人間関係

なのです。

情けは人の為ならず
という法則です。

お中元やお歳暮のような
虚礼として排されがちなしきたりも

100年を隔てた国家間の友誼にも

お返しと互恵性の心理学という

実は社会的動物としての根本的な
同じ法則が働いているのです。

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