ユダヤ人は「モーゼの十戒」から神の掟や契約、死生観を学ぶ


日本人の宗教観と
世界の宗教観は異なるものです。

アブラハム系宗教と呼ばれるもののうち、

ユダヤ教には、

キリスト教で言う
イエス・キリスト

イスラム教で言う
ムハンマドに相当する
創始者はいません。

つまりユダヤ教は長い時間をかけて
ゆっくり形作られた宗教
と考えられていますが、

ユダヤ民族の父祖とされる
アブラハムは、

神ヤハウェと契約を結び、

今のメソポタミア地方から
約束の地カナンへ(今のパレスチナ)

一族共に移り住んだと言われます。

これが紀元前19世紀頃の事です。

アブラハムの孫ヤコブの代に
ユダヤ民族はエジプトへと移り住みますが、

彼らはその後、エジプト人の
奴隷にされてしまいます。

すっかり奴隷根性が染み付いた
彼らをエジプトから脱出させ、

40年も荒野で放浪させて
鍛え直したとされるのが、

「モーセ」です。

モーセの十戒と神との契約、掟

つまり、モーセは指導者ですが
創始者ではないのです。

ただモーセも数々の奇跡が
伝えられています。

こうした出来事はもちろん、

旧約聖書に書かれた伝承で、
歴史事実とは認められていませんが、

ユダヤ人は幼少期からこうした
神との契約、掟などを色々と学びます。

例えば有名な、

「モーセの十戒」

というものがあります。

モーセは紀元前13世紀ごろ活躍した
古代イスラエルの民族指導者ですが、

モーセの教えはユダヤ教だけでなく、

キリスト教、イスラム教
およびバハーイー教など

多くの宗教において理想像として
捉えられています。

旧約聖書のモーセ五書

「創世記」
「出エジプト記」
「レビ記」
「民数記」
「申命記」

はモーセが記したとされています。

中でも有名な十戒はトーラーの
出エジプト記(20章)の中にある

神がモーセを通じてユダヤ民族に
授けた十の掟の事です。

シナイ山で神から戒律を
授かるわけです。

モーセの十戒はどんなものか?


先ほども言いましたが、

宗教にはたいてい創始者がいます。

仏教の創始者は仏陀であり、

キリスト教の創始者は
ご存知の通りイエス・キリストですが

ユダヤ教には明確な始祖は存在しません。

ただその中でも最も重要な人物が、
預言者モーセです。

モーセはシナイ山で
神との契約をもたらしました。

だから予言では無く預言なのです。

しかし当時のイスラエルの民は
たびたび戒律を破っていたそうです。

そんな神との掟を遵守しなければ、
ユダヤ民族は歴史の過程で信仰の道を踏み誤り、

ユダヤ人としての統合的な
アイデンティティも喪失すると危惧し

シナイ山山頂で神から授与された
10の戒律を再確認して、

ユダヤの人々に公布し
それを厳守するように導いたのです。

この10個の戒律が、ユダヤ人の
宗教規範の原理となる『モーセの十戒』です。

1.私はあなたの神、主である

2.あなたは私の他に、
何ものをも神としてはならない

3.あなたは刻んだ像を作って
神としてはならない

4.安息日を覚えて、これを聖とせよ

5.あなたの父と母を敬え

6.あなたは殺してはならない

7.あなたは姦淫してはならない

8.あなたは盗んではならない

9.あなたは隣人について、
偽証してはならない

10.あなたは隣人の家を
むさぼってはならない

これはユダヤ教の最も
基本となる教えです。

神の掟、戒律を守るユダヤ人

トーラーではこの後、
これをもっと細かく
具体的に定めている箇所があります。

例えばモーセの十戒の

3.あなたは刻んだ像を作って
神としてはならない

と言う掟の後、

「それにひれ伏してはならない、
それに仕えてはならない、

あなたの神、主である私は
ねたむ神であるから、

私を憎むものには父の罪を
子に報いて3、4代に及ぼし、

私を愛し、私の戒めを守るものには
恵みを施して、千代に至るであろう」

と言う言葉がつきます。

モーセの十戒を読んで分かるように

「盗んではいけない」
「人を殺してはいけない」
「父母を敬え」

と言った人間としての基本を教えています。

特定の宗教の教義というよりも、

人として生きる上で
当然知らなくてはいけない内容を

ユダヤ人は5歳から徹底的に学ぶのです。

死んだら終わり…ユダヤ教の死生観

また宗教にとって
なくてはならないのが、

死生観、死後の世界についてでしょう。

キリスト教やイスラム教は

死後、天上の楽園が約束されます。

また東洋の仏教の死生観でも
極楽浄土という考え方はあります。

しかしユダヤ聖書には、

天国という明確な概念はありません。
(地獄も無いわけですが)

死後の世界、来世で報われる
という考えが無いので、

死んだら終わりなのです。

それがゆえに現世志向が強くなり、
この世の人生を何より大切に
考えるようになります。

葬儀などもあくまで質素なものです。

こうしたある意味厳しい死生観は、

世界宗教人口の54%を占める
キリスト教徒イスラム教に比べ、

ユダヤ教は0.2%という、
信徒の獲得の少なさにつながっている
かも知れません。

モーセの十戒とユダヤ人の生活

もちろんこのサイトでは
特定の宗教を進めるわけでも、

比較して優位性を語る
ものでもありません。

しかしこうした宗教観や死生観は

信念となり私たちの人生に大きく
関わる事は確かです。

日本ではかつてあった「教育勅語」

その内容は

「両親を尊びなさい」
夫婦仲よくしなさい」

と言った内容で、それと良く似ていますが、

これは時の政府によって
国民に向け示されたもので、

モーセの十戒は万古不変の「神の掟」
として定められている事です。

モーセはかのフロイト
憧れを抱いた人物ですが、

その人物像が正確に伝わっているか
と言われれば疑問も浮かびます。

ただ現代人の目から見れば
当たり前のような十戒の内容でも、

これが書かれた3千年以上前
となるとそうではなかったようです。

そしてこのユダヤ人のトーラーが
基本となり現代文明の基礎とも言える
キリスト教も生まれたのです。

つまり現代人の生活の基本とも言えるのが、
トーラーの教えやモーセの十戒と
言えるのかもしれません。

ユダヤ人の神の掟や契約、
死生観から来る、

考え方やライフスタイルを学ぶ
事には意義があるのではないでしょうか。

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