ユダヤ系のサルコジはフランス大統領にフランス社会のユダヤ人


一般的に日本からは、

美食、ファッション、アートなど、

観光地として誰もが訪れたい
憧れのイメージの強いかも知れません。

実はフランスと言う国は、

アメリカ、イスラエルに次ぐ
世界第3位のユダヤ人口(60万人)
を擁する国です。

哲学者モンテーニュ、
作家のプルーストなども

フランスのユダヤ系です。

哲学、知の大国フランスですが、
その歴史は複雑です。

ヨーロッパのユダヤ人解放に
置いて一大躍進を遂げたのは、

やはりフランス革命です。

1791年にフランスの
ユダヤ人は平等の市民権を認められ、

その影響がヨーロッパに
広がったのです。

これが現在の世界に人権思想を
浸透させるきっかけになります。

一方で、過去には反ユダヤ主義が
台頭した事もあります。

1890年のドレフュス事件は、

当時フランス陸軍大尉だった
ユダヤ人ドレフュスが、

プロシアのスパイと言う
濡れぎぬを着せられ終身刑に、

これがきっかけにフランスで
反ユダヤ主義の嵐が吹き荒れます。

また1940年代にはナチスに協力する
ビシー政権の正当性をめぐり

国論が2つに分かれ対立した
歴史があります。

中でもビシー政権の
7万6000人ものユダヤ人が

フランスからドイツの強制収容所へ
送られたという忌まわしい過去は、

今でもフランスの反省点として
歴史に残っているのです。

フランス社会のユダヤ人

そんなフランスの現代、

ユダヤ系の政治家としては
フランス大統領のサルコジが有名です。

「私は(ユダヤ人国家)
イスラエルの親友だ、

イスラエルは常に
私の友情を信頼してくれてよい」

と2007年の5月、
フランスの新大統領に就任した
ニコラ・サルコジは

イスラエルのエフード・オスメルト首相に
そう電話で語ったと言われています。

移民2世が大統領になる事は
アメリカでもまだありません。

そんなユダヤ系の大統領の誕生は
フランスの多民族化を世界に
強く印象づけました。

サルコジ大統領は
フランスのパリ生まれですが、

母親はギリシャの
テサロニケ出身のユダヤ人、

母親がユダヤ人であるということは、
ユダヤ人から見ると、

れっきとしたユダヤ人です。

本人はカトリック信者であると
公表していますが、

サルコジ大統領自身

「私のルーツはギリシャのテサロニケにある」

と自分のアイデンティティ
ユダヤ人である母方の故郷にあることを
強く意識していると言います。

フランスの反ユダヤ主義と戦うサルコジ

かつてサルコジが内務省だった時代にも
彼はフランス国内で高まりつつあった
反ユダヤ主義のために尽力し、

それで今もサルコジは

「フランスで最も
反ユダヤ主義と戦う男」

と呼ばれます。

また国民運動連合(UMP)の
大統領候補に選出されたときの演説では、

「自分の人生で最も大きな体験は、

イスラエルのエルサレムにある
虐殺記念館を訪問したことだ」

と語っています。

決してエリート出身でない
移民の子供であるサルコジが大統領に
なったことも異例のことですが、

ユダヤ系の大統領というのも
フランス史上初めてのことです。

ついでに言えば、サルコジ内閣では
外相に任命されたベルナール・クシュネルも
ユダヤ系です。

極右体制の強いフランスの政治体制

ユーロッパで最もユダヤ人人口を
擁するのがフランスな訳ですが、

(続いてイギリス、ロシアの
27.5万人)

フランスでユダヤ人、
もしくはユダヤ系として

生きるということは容易なことで
はないそうで、

元来フランスでは反体制の
極右運動による反ユダヤ主義が強く、

現在は国民の10%を占める
イスラム教徒によるユダヤ人攻撃も
増えていると言います。

イスラムの同胞、パレスチナ難民の
大儀に共鳴する反イスラエル感情から、

人種的、宗教的憎悪に根ざした
犯罪事件が問題になっています。

それはパリや各地で年に数回起きている
ユダヤ人の墓荒らし、ユダヤ教会堂への
放火や爆破と言った事件からもわかります。

2004年には、
ユダヤシナゴーグへの放火が相次ぎ、

イスラエルのシャロン首相が
安全の為に在仏ユダヤ人に、

イスラエルへの退避帰国を
呼びかけるという異例の事態も起きました。

フランスの民族問題

だからといってユダヤ人が
フランス社会や政治から完全に
閉め出されている訳ではなく、

実際にこれまでユダヤ系の
首相は誕生しており、

第二次世界大戦前の
レオン・ブルームをはじめ、

戦後では1954年の
ピエール・マンデス・フランスや

1984年に37歳の若さで
首相の地位に就いた

ローラン・ファビウスらがいます。

しかしユダヤ人は大統領になれない
というジンクスがあり、

サルコジは見事にそれを打ち破ったのです。

もちろん国家内民族問題は
色々と複雑なものもあるでしょう。

私たちはあるコメディ映画を通じて
その一幕を垣間見る事ができます。

『最高の花婿』

フランス、ロワール地方で暮らす
ブルジョワ夫妻の娘たちが、

ユダヤ人、アラブ人、中国人と結婚、

両親は娘たちを祝福するもカトリック
教会で挙式ができずに内心はがっかり、

そこでせめて末娘には“カトリック”
のフランス人と結婚してほしいと願う。

実際にパリで暮らす末娘の恋人が
カトリック教徒と聞いてほっとするものの

末娘が連れて来たのは、
コートジボワール出身の黒人青年。

こうした複雑な家族間の様相を
上手に映し出した2014年の
興行収入ナンバーワン作品です。

フランスにおけるユダヤ人政治家の力

フランスの政界で
ユダヤ系なのはサルコジだけでなく

社会党代表は

セゴレーヌ・ロワイヤル

ですが、

そのロワイヤルと社会党の
大統領候補の座を争った

ドミニク・ストロス・カーン元財務省と
ローラン・ファビウス元首相も

ユダヤ人であり、
大統領になる機会はあったのです。

いずれにせよ、総人口が
6千万人のフランス社会において、

ユダヤ人人口は60万人弱、

多くなってきているとはいえ、
わずか1%のすぎません。

そのわずかな中から次々と
首相を生み出し、

ついにもっとも知性を要する
大統領を誕生させたのです。

それも国民投票により選任
されたわけです。

民主主義的な選挙と言う
手法を使ってです。

フランス社会のユダヤ人にも
複雑な歴史がありますが、

大きなイベントであった事は
言うまでもないでしょう。

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