呼吸と言葉を発する脳と筋肉の役割、酸素不足とストレスの関係


今回のテーマは、

呼吸と言葉を発する脳と筋肉の
役割、酸素不足とストレスの関係

について紹介します。

前回紹介したように、

セロトニンを活性化する為に

頭の中で呼吸を数えたり
「イッチニ、イッチニ…」
とリズムに乗せることの効果、

こうした頭の中で言葉が動き出すと、
古い脳の働きが抑えられる、

というメカニズムと一致する
体の仕組みがあります。

ストレスを目の前に体が固まる
武道の居着きの一端を担っている
かも知れないこの現象も、

キーワードは「呼吸」です。

私たちが普段、無意識に
行っている呼吸ですが、

この呼吸をコントロールしているのは
古い脳の一部である脳幹です。

私たちは酸素が取り入れられず
息が止まると死んでしまうわけですから、

血液級の二酸化炭素の
濃度をモニターしながら、

胸の周りの筋肉の動きを調節し、
呼吸のペースや深さを
自動で調整するのです。

つまり人間が黙って呼吸を
している限り呼吸を支配するのは

この脳幹と言えるでしょう。

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現代人が酸素不足に陥る原因

ところが人間は呼吸を

「酸素を取り入れる」

という本来の目的とは違う
用途にも使われます。

それが「言葉を話す」という
機能です。

吐く息の風圧でのどの奥にある
声帯を震わせて音を発生させ、

咽頭や喉の筋肉を繊細に調整して
音色や音の長さを調節し、

目的の音声を作り出します。

それを並べることで言葉が生まれ、

人間同士のコミュニケーションが
成り立っているわけです。

この呼吸の機能がなければ
私たちの会話は成り立たないのです。

ところがこうした言葉を話すプロセス
で呼吸運動をコントロールしているのは、

脳幹ではありません。

大脳皮質なのです。

この二つの脳の働きの違いこそが
ストレスを生むことがあるのです。

呼吸と言葉を発する脳と筋肉の役割

私たちの言語機能を
担う役割が大脳皮質ですから、

ある一つのつながりの言葉を
話そうとするとき、

大脳皮質はまず、その言葉を
話すのに必要な空気の量を計算し、

横隔膜や胸の周りの筋肉に
命令をしてそれを吸い込みます。

言葉を話し始めたとき、

発生の長さや表現内容に応じて
吐き出す加減を調整するのも
大脳皮質です。

咽頭やのど、唇や舌などを
微妙に動かすのも大脳皮質です。

つまり、

呼吸に伴う筋肉というのは、

生存を司る脳幹(古い脳)

人間らしい思考を司る
大脳皮質(新しい脳)

の二重支配を受けているのです。

これまで新しい脳と古い脳の
ミスコミュニケーションが
現代人特有のストレスを生んでいる
という解説をしてきましたが、

呼吸の機能をとってみても
このメカニズムが当てはまるのです。

呼吸は意識と無意識のなせる技

古い脳が管理する呼吸は
無意識のうちに行われていますが、

新しい脳がコントロールすれば
意識的に動かすことができます。

実際、私たちは意識して
息を吸ったり、

呼吸を早めたり止めたりできますね。

これが大脳皮質による呼吸の
コントロールです。

こういう風に大脳皮質が息を
コントロールできるから、

私たちは自由に言葉を話せるのです。

つまり言葉を話していないとき、

無意識レベルでは脳幹が呼吸を
コントロールしています。

これがホメオスタシスの作用です。

でも、意識をして考えて
言葉を発する時には

ホメオスタシスはいったん横に置かれ、

言葉を発する為の呼吸と
筋肉の動きが優先されるのです。

このメカニズムにズレが生じると
酸素不足やストレスを
生むこともあるのです。

例えば、

体内の酸素が少し不足してきたとしても、

「まだ話したいことが残っている」

と新しい脳が考えていれば、

新しい脳は、息を吸って
酸素を補うより、

しゃべり続ける(息を吐く)
事を選んでしまうのです。

酸素不足とストレスの関係

さらに興味深いのが、

新しい脳が呼吸の役割を
支配し始めると、

脳幹の働きに抑制がかかり、

血液中が酸素不足になり
二酸化炭素濃度が多少上がっても

「息が苦しい」とは
感じにくくなるのです。

だから、私たちは息苦しさを
気にせず、好きなことを好きなだけ
しゃべっていられるのです。

でも、一気にしゃべり終えると
なぜかどっと疲れてしまう
感覚を感じることもあります。

この現象について、

呼吸生理学の専門家
昭和大学教授の本間生夫さんは、

以下のように説明します。

「普通にしゃべっているとき、

あなたは特に息苦しいなどと
感じていないですね。

でも、話を終えたらきっと少し
呼吸が早く荒くなるでしょう。

話すと機能の中では
話すことが優先されていて、

酸素の取り込みを若干犠牲
にしています。

それでも苦しいと感じないのが、

脳幹の調整機能が
抑制されているのです。」

人間の知能がストレス源になる?

いうまでもなく、

人間が現在のような知性を
獲得する上で、

言葉が果たした役割は
計り知れません。

人類がどのような経緯で
言葉を操る能力を身につけたのかは、

人類の歴史に置ける最大の
謎の一つですが、

大脳皮質が直接、呼吸筋や
喉の筋肉を細やかに動かせる
ようになったのが、

大きな飛躍を生む基盤となった
のは間違いないでしょう。

それがなければ

人は音声を操ることが
できなうわけです。

何しろゴリラやチンパンジーは、

訓練を通じて人間の言葉や
サインをかなり理解できるだけの
知性も持っているようですが、

彼らの大脳皮質は呼吸筋や
声帯の筋肉を繊細に操れないため、

決して言葉を発する事はできないのです。

(もちろん、のどの構造も
人間とは違っていますが…)

コミュニケーションと呼吸とストレス

こうした機能を神様は人類に
与えてくれたのだとすれば、

素晴らしいことですが、

ただ、あらゆる出来事には
表と裏があるのです。

メリットがあればデメリットもあり、

これがストレスとも関係
するようになるのです。

恐らく人間は、言葉を使うという
素晴らしい能力を獲得すると同時に、

「言葉を発するときは脳幹の
呼吸調整機能が抑制される」

という副作用も手に入れてしまったのです。

さらに専門家の研究によれば、

声を出さずに、頭の中で
言葉を唱えるだけでも、

脳幹の反応は低下する
と言います。

声を出してコミュニケーションは
していないわけですから、

呼吸の筋肉の動きは脳幹に
任せておいても良さそうなものなのに、

頭の中を言葉が飛び交うだけで、
脳幹によるホメオスタシスの
呼吸制御が抑えられるのです。

ここに現代人特有のストレス
そしてその対応策が見えてきそうです。

例えばパソコンの画面で
文字をずーっと読んでいるようなとき、

頭の中では言葉をつぶやきます。

すると脳幹による呼吸の制御が
抑えられます。

そんなとき少し酸素不足になり
体はストレスを感じ、

苦しく感じるものなのです。

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