警戒心と緊張感で動きが鈍くなるストレスが悪循環になる問題

警戒心と緊張感で動きが鈍くなるストレスが悪循環になる問題
今回のテーマは、

警戒心と緊張感で動きが鈍くなる
ストレスが悪循環になる問題

について紹介します。

体が固まれば、血液循環が
悪くなり不調を引き起こします。

そして心も固まれば、色々な
意味で心身に弊害が出るのです。

さてストレスを前に
体が固まったり動かなくなる

前に紹介したのが
「居着き」という現象ですが、

これを避ける為に
武道ではどんなことをするのか、

神戸女学院大学教授
内田樹さんの『私の体は頭がいい』
という著書内では

「スズメバチ」と「蠅」が
飛び回っている状況を例に挙げて
説明しています。

うるさく飛び回る虫を
手で追い払おうとした場合、

「蜂を追い払う」のと
「蠅を追い払う」のでは、

どちらの動きが速くて強いかを
比較すると分かると言います。

同じ虫でも「蠅」と「蜂」では、

私たちの心身への影響は変わります。

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警戒心と緊張感で動きが鈍くなる

これを前傾書から引用してみます。

「蜂を追い払う場合、
うかつに手を出して、空振りしたり、
当たり損ねてしまうと、

蜂の逆襲にあって、
こちらが刺されてしまう。

だから蜂を撃つ場合は、
常に相手の『反撃』というものを
予測しなければならない。

(中略)

攻撃は『一撃必殺』の強く速い
動きでなければならないし、

場合によっては逃げ道も
確保しておかねば行けない。

蠅を追い払う場合、
私たちは蠅の『反撃』というもの
をさしあたり予測する必要がない。

新聞を読みながらでも、
あくびをしながらでも、

私たちはいきなり蠅を追い払う
動作に入ることができる。

蠅を追い払う動作には、
心の準備も体の準備も要らない」

…つまり、

そして強く打とうと考えて
動いてしまう蜂のケースでは、

考えることでむしろ、

動作の前にためらいや緊張が生じ、
動きが鈍るのだと言います。

現代人のストレスは蜂or蠅?

内田さんの著書からの引用を続けます。

「だから、本当に危険な
敵と戦う時には、

あくびをしながら蠅を追い払う
ようなつもりで相手を打たなければ
行けないというのが、

武道の基本的な考え方になる。」

ここに「あくび」が出てくるのが、
何とも象徴的です。

警戒心と緊張感が慢性化し
あくびをする事も麻痺する
現代人の状態を以前説明しましたが、

危険な敵と向き合うときこそ、

あくびという体の声が聞こえるような
状態でなければいけないと、

内田さんは指摘しているのです。

現代人特有のストレスである
嫌な上司の例を考えてみましょう。

上司に小言を言われているとき、

頭の中では

「あくびをしながら蠅を追っ払う」

とはほど遠い状況です。

「次は何を言われるのだろう」
「あれを言われたらどう対応しようか」

と言った反撃予測の思考や、

「会社の中だし、変なことはできない
同僚たちの目も気になるし…」

と言った社会的な価値観や、

もしかすると、

「次の人事評定は気が重いな・・」

と言った未来予測までが
頭の中を飛び交っているわけで、

これはむしろ蜂のときの
状態に近いでしょう。

こうした警戒心と緊張感で
動きが鈍くなるだけでなく、

こうしたストレスの積み重ねが
心身に悪循環になる問題となるのです。

脳内であれこれ思案することの問題

こうした問題のメカニズムとして、

ここで、セロトニン神経の
話を思い出してください。

慢性ストレス下でセロトニン神経の
働きが弱まると、

新しい脳は思考の暴走、

つまり「あれこれ思案」に
陥りやすいのでした。

ライオンに襲われたら
とっさに逃げることと違い、

現代人にとっての嫌な上司は
慢性的なストレス源ですから、

その上司の前であれこれ思案が
止まらなくなるというのは
納得できる話です。

そして新しい脳のあれこれ思案が、
とっさの動きを鈍らせて
居着きをもたらしたように、

上司の前でも「逃げろ」と
訴えている古い脳を遠ざけて
しまうのです。

すると古い脳は、ますます
ストレスを募らせて大声を上げる、

上司の前で釘付けになっている
体の中はこんな悪循環が起きている
のではないでしょうか。

警戒心と緊張感の積み重ねの悪循環

どれほど嫌な上司でも、

本当に自分の命を奪うわけではありません。

でも、過去に何度も嫌な
目に遭わされ、

我慢を重ねてきた記憶の中で、
ストレスが増幅され、

体は上司に対してすっかり
猛獣並みの警戒態勢をしいています。

あれこれ思案の末に新しい脳が
作り出した「架空の猛獣」です。

こうした警戒心と緊張感の
積み重ねが心身にストレスをかけ、

それが悪循環になる問題となるのです。

これでは、武道が

「本当に危険な相手でも
あくびするようなるつもりで対する」

と教えているのとはまるっきり逆です。

そして上司の前では、

まるで目の前の上司が世界の
全てであるかのように、

全意識がその上司の言葉と
一挙手一投足に吸い寄せられてしまいます。

体が床の上に居着いてしまうように、

心は「嫌な上司」という
対象の上に居着いてしまうのです。

動きが鈍くなる現代人の対応策

目に入るのも、耳に入るのも、
頭の中を飛び交うのも、

全て嫌な上司に関わること、

他の出来事、例えばすぐ横で
別の同僚が何か合図したり、

窓の外で何か珍しい事件が起きたとしても、

多分気づかないのです。

もちろんそんなときは、

肩こりやあくびをしたいと言う
体にも気づかなくなり、

健康的にも徐々に悪循環に
入り込んでしまうのです。

自衛官の心のケアを中心に活躍する
心理カウンセラーの下園壮太さんは、

こんな状況を「ロックオン状態」
と説明します。

「アフリカのサバンナで、ふと、
藪の中から自分を見つめるライオン
と目が合ったとします。

ものすごい怖いですよね。

警戒する為に、相手の動きに
全神経を集中させるでしょう。

ライオンが気になって
仕方がないわけです。

こんな風に

”自分の命を奪いかねない敵”

と判断した相手には、

警戒心がぴたりと標準を
合わせるので、

一瞬たりともそこから目を
そらせなくなってしまうのです。」

ロックオンが起きてしまうのも、

もちろん上司をライオン並みに
警戒しているからです。

一方前に紹介した思考実験で
設定した見ず知らずの人との間には、

逃げてはマズイ理由はないし、
嫌な目に会ってきた経験もない、

警戒しなければ行けない
事情は特にないわけです。

単に突然現れたちょっと変な人、

であれば警戒心も緊張感も
ストレスも生まれないのです。

それなら蠅を追い払うときと
同様にためらいなく、

さっさと逃げられるのです。

それでは次回このメカニズムを
踏まえた上で、

頭の中で考え過ぎないような
対策について考えて行きましょう。

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