聴覚のストレスへの対応、身体が勝手に動く反応するメカニズム


今回のテーマは、

聴覚のストレスへの対応、身体が
勝手に動く反応するメカニズム

について紹介します。

前回紹介した視覚メカニズム

ライオンからとっさに逃げる
という反応をシマウマに起こすのも、

この古い視覚システムに
端を発する運動命令です。

「あ、あれはライオンだ」

と認識するより早い命令系統で
動き出すのですから、

このときの感覚をもしシマウマが
話せるとしたら、

こんな感じでしょう。

「”ライオンだ!”と気づく前には、
とっさに身体が動いていました。

ライオンだと気づいてからでは
もう遅いのです。食べられちゃいます。」

これはまさにこれまで紹介してきた
ホメオスタシスや身体の声の
メカニズムと同じでしょう。

さてこうした視覚による
反応メカニズム以外にも、

聴覚を使ったものもあるわけです。

身体が勝手に動くメカニズム

ときどき相撲の力士が
試合後のインタビューで答えるのが、

「よくわかりません、
身体が勝手に動きました。」

という古い視覚の働きで
自分が動いていたという感覚です。

野球でホームランを打つとき、

サッカーでパスに
ヘディングで会わせる動き、

などなどアスリートの多くは
頭で考えるのではなく、

身体が勝手に動いていた…

という感覚を持っているでしょうが、

特に長い歴史を持つ武道など
格闘技の世界では、

考えたり認識する前に
身体を反応させる神経を鍛える
方法が経験的に編み出され、

伝統的な稽古法として
受け継がれているのでしょう。

こうした方法を身につければ
体の声に耳を傾けられ
心身の健康も守れるかもしれません。

聴覚のストレスへの対応

そして視覚と同じように、

音を聞く聴覚にもストレスに
反応するメカニズムがあります。

新しい脳が行う複雑な情報処理
プロセスをショートカットして、

とっさに体を動かす命令ルート
があると言われています。

「聞こえた」と気づく前に
身体が勝手に動くのです。

草むらからガサガサという
音がすれば、

その姿が見えなくても
体は警戒態勢に入ります。

これは音の聴覚によって
ストレスに対応しているのです。

聴覚と身体が勝手に反応するメカニズム

実際に、陸上競技の短距離走で
世界トップクラスの選手の中には、

スタートの瞬間に

「体が勝手に反応して、その後に
ピストル音が聞こえる感覚」

という境地に到達している
人もいると聞きます。

競技のルールでは、

ピストルが鳴ってから
0.1秒以内に動き始めた
選手はフライングと判定されます。

これは脳の情報処理スピードの
限界は0.1秒と見積もられている為、

それより速く動いた場合
「山をかけた」と見なされるからです。

しかし聴覚のショートカット経路で
反応すれば、

これより早くスタートできる
可能性もあり、議論を呼んでいます。

古い脳はストレスに体が反応する

こうした古いシステムの命令で
ストレスへ対応し、

身体が勝手に動くメカニズムは

まさに一種のご先祖様の時代に
作られた「体の声」です。

そして、そんなとっさの反応の動きを
人間の体で実現しようとするとき、

新しい脳が行いがちな

「固定的価値観にとらわれていたり」

「相手の強さや早さを予測し、
それへの対応をあれこれと思索する」

と言った前回紹介したような

あたらいい脳であれこれ考える行為は、

聴覚においても視覚においても、

身体が勝手に反応するメカニズム
を鈍らせる以外の何ものでもない
という事です。

現代人特有のストレスである
嫌な上司の前で、

「社会人として変な振る舞いはできない」

などという価値観の元に
頭の中であれこれ

「この場をどう収めよう」
「早く終わらないかな」

などと思案すると私たちは、
上司の前で固まってしまいます。

この姿は甲野さんや内田さんが
指摘した「居着き」という
現象と面白いほど似ています。

現代人がストレスへ対応するには

だからといってもちろんここで、

嫌な上司からは本能に任せ
ダッシュで逃げ出せ!

というわけではありません。

「体の声を聞く」ことで
心身の健康を取り戻そう
というこれまでのテーマから言えば、

そのスピードを上げる事には
あまり意味がないでしょう。

あくまで武道と言う
スピードを高めようと何百年も
経験を積み重ねてきた世界では、

結果的にこうした新しい脳が
あれこれ考えるメカニズムを
稼働させず、

聴覚や視覚で反応し
とっさに身体が勝手に動く

反応するノウハウを蓄積してきた
わけです。

ただ私たちはこうして培われた
知恵を応用して、

現代のストレスに立ち向かう、

嫌な上司の前で居着いてしまい
我慢ストレスを溜め込んでしまう
私たちの姿を理解する上で

重要なヒントを含んでいるのです。

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