ストレスが便秘や下痢に及ぼす影響、IBS過敏性腸症候群の特徴


今回のテーマは、

ストレスが便秘や下痢に及ぼす
影響、IBS過敏性腸症候群の特徴

について紹介します。

前回原始時代と現代社会の
ストレスの質に違いがある
という話をしましたが、

ストレスが慢性化すると、

体はどんな影響を受けるか。

ここではある病気の症状を
手がかりにこの問題を考えてみましょう。

「過敏性腸症候群」

という症状に注目します。

過敏性腸症候群(IBS)

は腸の病気の一種ですが、

腹痛やお腹の不快感に加え、
下痢や便秘を引き起こします。

下痢と便秘はまるで正反対の
現象ですから、

同じ病気からその両方を
起こすというのも何だか不思議ですが、

実際にそう言う症状が出るのです。

患者さんによって、

おもに下痢を起こすタイプ、
おもに便秘になるタイプ、

場合によっては便秘と下痢を
繰り返す混合タイプなど、

様々な症状があるようです。

IBS過敏性腸症候群の特徴

便秘も下痢も…

なぜこんな事ににあるかと言うと、

IBSの人は、腸が痙攣してしまうからです。

以前も紹介しましたが、

神経細胞が多数集まる
腸というのは本来、内容物を
肛門方向へ押し進める為に、

かなり秩序立った動きをします。

歯磨きチューブの中身を
押し出すときのように、

収縮する部位が少しずつ
下流に向かって移動する事で、

中身をスムーズに押し進めて行きます。

ところがIBSの人の腸では
この特徴が乱れており無秩序な
痙攣運動が起きてしまいます。

そのため便を上手く先へ送れずに
便秘になったり、

急に強く収縮して下痢になったり

と言った特徴の現象を繰り返すわけです。

東北大学教授の福士審さんは
IBS研究の専門家ですが、

彼は多くの患者さんを治療しながら、

この病気のメカニズムや
治療法を研究しています。

福士さんによればIBSは、

精神的なストレスが引き金に
なって発症したり症状が
悪化する典型的なストレス性疾患、

つまり心身症の一つだと言います。

「IBSの人の体は、慢性的な
ストレス状態にあると考えられます」

というのが福士さんの主張です。

ストレスが便秘や下痢に及ぼす影響

ここでIBS過敏性腸症候群患者の
脳波を測定すると、

興味深い特徴が浮かんできます。

良くリラックスの指標と言われる
アルファ波という波長の脳波が
健康な人よりも少なく、

ストレスを感じた時に増える
ベータ波が多く観察されたそうです。

脳波を測りながら実験的に
軽いストレスをかけると、

この差はいっそう顕著になりました。

脳波測定のような研究をする時は、

被験者に余計なストレスが
かからないように環境を整えて行います。

比較的静かで落ち着きやすい、
一定の環境を準備するわけです。

そんな中で測定をしたのに、

始めからベータ波が多いというのですから、
これは慢性的なストレス状態と言えます。

つまりちょっとの刺激で
敏感に反応するようになります。

取り立ててストレスと呼べるような
刺激がない状態でも、

体はストレスを感じているのです。

それが便秘や下痢といった
症状として現れるのです。

ストレスが腸と脳に与える影響

そんな慢性ストレスは
腸にどんな影響を与えるのでしょうか。

ここで医学界では

肛門から腸に風船のような
器具を挿入して膨らませる

「バロスタット」

という検査があります。

腸の壁を内側から刺激して
どんな風に感じるかを調べるわけです。

この検査を健康な人とIBSの
人に行って反応を比べると、

IBS患者は、ごくわずかの
圧力でお腹の痛みを感じたそうです。

腸の感覚が過敏になっているのです。

腸の不調と聞けば普通は
消化不良や食べ過ぎの呑み過ぎと言った
事が原因と考えてしまいますが、

ストレスこそがIBS
過敏性腸症候群の特徴を生むのです。

私たちは普段、何かストレスを
感じてピリピリ、イライラしているとき、

普段ならどうという事もない
些細な出来事に、

往々にしてカチンと過敏に反応
してしまう事があります。

IBSの人の腸は、
まさにそんな状態です。

ベースの気分がイライラ
しているので、

ちょっとの刺激に対しても
いちいち敏感に反応してしまうのです。

この検査をしながら脳の状態を調べると、

情動のセンターである
大脳辺縁系が強く働いているそうです。

腸の反応に対応して
脳も不快感を発するのです。

ストレスのIBS過敏性腸症候群への影響

もう一つ興味深いデータがあります。

腸の中にセンサーを差し入れ、
腸の動きをモニターする検査もあります。

この状態で被験者に
ストレスをかけると、

反応して腸が動くのですが、

IBSの人は健康な人より
動きが激しくなります。

しかも痙攣するような異常収縮が
頻繁に現れるのです。

腸の秩序立った動きは、

腸管の中に埋まっている

神経ネットワーク=腸神経系

によってコントロールされています。

腸にとっての自前の脳である
一億個の神経細胞が、

腸の神経を順序正しく
動かすことで、

歯磨きチューブのような
動きが実現するのです。

そのような秩序立った
制御システムが、

IBSの人の体内では、

ストレスによって上手く
動かなくなるのです。

それで腸の動きがおかしくなって
無秩序に痙攣してしまうのです。

ストレスが脳の神経を壊し
記憶に障害をもたらすように、

ストレスは腸の神経細胞を
壊す可能性もあるわけです。

腸の調子で上手く力が働かないのはなぜ?

これも私たち自身の振る舞いに
置き換えるとイメージ
しやすいでしょう。

何か手作業などをするとき、

普段なら問題なくできるのに、

イライラしている時にどうも
変な所が力んだりして、

指先がギクシャクして
うまくできない、

なんて言う事はありませんか?

例えば

趣味でギターを弾く人によれば、

何かにイライラしているときは
指の動きが固くてぎこちなく、

弾き慣れた曲でも
上手く弾けないそうです。

出てくる音もがさつで
力任せに荒っぽくなり、

ミスも増えます。

そんな演奏を聴くと私でも
おかしさに気づきます。

ここでやはり問題は腸です。

イライラする事で体の
制御機能がおかしくなる
とすれば大問題です。

体の自動制御と言えば

腸の他にここまで何度も取り上げてきた
視床下部や脳幹などの

ホメオスタシスのセンターがあります。

もしもIBS過敏性腸症候群の腸と同じように、

ホメオスタシスのコントロールも
慢性ストレスによって
乱れてしまうとすれば、

体を維持する為の
根本を揺るがしかねないのです。

便秘や下痢のホメオスタシスへの影響

考えてみれば、

高血圧という病気も、

ストレスの影響で実際に
そう言うことが起きるわけです。

「血圧を安定し維持する」

というホメオスタシスの機能が
上手く働かなくなるのです。

他にも血糖値が高くなって
しまう病気の糖尿病も

ストレスで病気が悪化する事が
多いわけです。

これもストレスが血糖値の
コントロール機能に悪影響を
及ぼすからの症状です。

こうした事を踏まえて、

便秘や下痢やIBSも、

たかが腸の不調として
甘くみては行けないのです。

改めてIBSの病気像を
見直してみると、

心身症と呼ばれる病気の
典型的な姿がここに凝縮している
とも言えそうです。

古い脳の働きを新しい脳が
我慢させて抑え込む事で起きる
症状と言うメカニズムを紹介しましたが、

こうしてストレスのかかった
古い脳にイライラが溜り、

過敏になって行くのです。

それが長期化して、
慢性化してしまうと、

最終的にはホメオスタシスなど
バランスをとる機能が破綻して、

心身症になり大きな病気になり

老化が進んだり早死にの
リスクも高まるのです。

IBS過敏性腸症候群の特徴という
症状のメカニズムをみても、

心身症から大きな症状に繋がる
筋道が見えてくるものです。

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